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オステオアゴラ九州沖縄エリア 2003年新緑座談会
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テーマ : 骨粗鬆症による骨折にどう対処すべきか
鶴上先生
 当院の内科には喘息の患者さんが多いのですが、内科の先生方にステロイドを投与する前に骨密度を測っているかと聞くと、ほとんど測っていないようです。骨粗鬆症がひどくなってしまってから整形外科に来られると、「もうどうしようもないよ」ということになるのですが、前もって必要だと思われれば骨密度を測って低ければ積極的に予防的な投与をした方が良いのではないかと、ACRのガイドラインを基に内科の先生方に話をしています。


桐山
 特にステロイド骨粗鬆症は医原性ですよね。

鶴上先生
 ですから、確実に予防しなければいけないと思います。私はビスフォスフォネートももちろんですが、活性型ビタミンD3をよく使っています。骨量が減っていなくてもステロイドを飲ませなければいけない可能性がある方には全例活性型ビタミンD3を投与します。

桐山
 カルシウム・バランスがマイナスになるという話がありますよね。


鶴上先生
 そういう意味では、サプリメントとして活性型ビタミンD3は一緒に飲んでもらった方がよいと考えています。リウマチの患者さんはステロイドや消炎鎮痛剤などを服用していて胃腸症状が出やすい方が多く、ビスフォスフォネートをすぐにというわけにはいかない方もいますので、骨量がかなり低い方や骨吸収マーカー値がかなり高く、骨量現象の予測ができる方に対しては、積極的に何とかしてビスフォスフォネートを飲んでもらいますが、飲めない方には活性型ビタミンD3を飲んでもらうようにしています。


桐山
 そうすると活性型ビタミンD3は総じて栄養補充の意味合いで投与されるということですね。


帖佐先生
 リウマチの患者さんは既に何種類もの薬を飲んでおられますし、薬の効果や副作用をよく知っておられる方が多いですので、内服する薬の数が増えることに抵抗があるようです。しかし、「活性型ビタミンD3やビタミンK2はビタミン剤ですよ」と説明することで、気にせず飲んでいただいています。ビスフォスフォネートについても、リスクの高い患者さんに対してデータを示しながら説明をして、納得して飲んでいただいています。

坂元先生
 私が以前勤務していた東京都老人医療センターでは、50床の病棟で年に4〜5人高Ca血症による意識障害を起こして入院してきました。そこで「どこか他の病院に行っていませんか」と聞きますと、他の病院でCa剤と活性型ビタミンD3を併用して処方されていることが多いですね。ですから、私は骨粗鬆症もリウマチも単剤治療を原則としています。


桐山
 ある先生からは骨粗鬆症の薬といって活性型ビタミンD3を処方され、別の先生からは「これはビタミン剤です」と処方されている場合がありますね。そうすると、患者さんは別のものだと思って一緒に飲んでしまいますので、かなり危険だと思います。Ca製剤と活性型ビタミンD3を併用されている医師もかなり多いので、注意が必要だと思います。


坂元先生
 ですから、活性型ビタミンD3は単剤のほうが安全だと思います。

桐山
 日本の場合はサプリメントとしてのビタミンDではなく、活性型ビタミンD3を使っているということを患者さんにちゃんと伝えて、昨今ではCaの補助食品というのが多く、1,200mgくらいは簡単に摂れてしまうような食品がありますから、食生活についてきちんと聴取した上で処方するべきだと思います。

帖佐先生
 同じ成分・種類の薬剤でも名前が違う薬剤がありますので、患者さんに薬剤の特徴を説明することが必要ですね。


桐山
 どうもありがとうございました。


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