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オステオアゴラ九州沖縄エリア 2003年新緑座談会
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テーマ : 骨粗鬆症による骨折にどう対処すべきか

 「 ステロイド骨粗鬆症の予防・治療 」

桐山
 ステロイド投与患者については、最近は早期にビスフォスフォネートを使うということになっていますね。

坂元先生
 リウマチの場合はそれほど大量にステロイドを使うことはなく、ほとんどが10mg以下なのですが、それでも骨粗鬆症は一番の大きな副作用ですね。


桐山
 10mgくらいでも圧迫骨折を起こすようなことはありますか。


図2
坂元先生
 あります。最近の報告では、ステロイドが2.5mgでも長期でみれば骨の粗鬆化が進んでくるともいわれています。しかし、活性型ビタミンD3やビタミンK2では効果は実感できませんでした。ビスフォスフォネートは、骨密度という点からいえば確実に上がりますね。実際私もリウマチの患者さんを継続的に診ていますが、3ヵ月経てば3%くらいは確実に骨密度が上がるという感じですから、いまやビスフォスフォネートなしではリウマチの治療はできません。逆に言えば、これからはビスフォスフォネートを使わないで漫然とステロイドを投与することは許されないと思います。
(図2)

桐山
 例えばリウマチ患者さんでもステロイドを使っていない場合にはビスフォスフォネートの導入はどの時点で考えられるのですか。

坂元先生
 リウマチの臨床をやっていて、ステロイドを使って骨密度が急激に下がっていく人もいれば、あまりこたえない人も結構います。そこに何かメカニズムがあるのだろうと思うのですが、1つの手がかりはpeak bone massだろうと思います。私は、骨量減少がある人は最初からビスフォスフォネートを使ってよいと思います。骨密度がYAMの80%以上の人は、様子を見るために半年に1回ぐらいDXAで骨密度を測って、急速に下がる傾向を見せた時点で使ったらどうかと思っています。


桐山
 米国リウマチ学会(ACR)の基準でも、ステロイドを長期投与する人には骨密度が骨粗鬆症領域までいかずに骨量減少の領域でも併用することになっていますね。

坂元先生
 ちょっと非医学的になりますが、若い頃に骨の強い人はステロイドを使ってもあまりこたえないような気がしますし、体質というものが関係しているような感じがします。


桐山
 確かにステロイドで急速に骨量が減っていく方と、全然こたえない方とおられるみたいなので、それは何らかの素因があるのでしょう。

帖佐先生
 私はステロイド製剤をあまり好んで使いませんが、長期にわたって使わざるをえない比較的若い方には活性型ビタミンD3やビタミンK2を併用し、50〜60歳以上の閉経後の女性には、骨代謝マーカーの値を参考にビスフォスフォネートを併用するようにしています。

桐山
 私は大学にいた頃はリウマチを研究していまして、30歳くらいの方でもステロイドを投与して数ヶ月の間に圧迫骨折が起こる方がいましたが、ひょっとしたらその方は骨量がもともと減っていてぎりぎりの状況にあったのが、ステロイドによって一気に閾値を超えてしまったのかもしれません。

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