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オステオアゴラ九州沖縄エリア 2003年新緑座談会
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テーマ : 骨粗鬆症による骨折にどう対処すべきか
桐山
 外来の患者さんは、パンフレットを渡してもなかなか1人ではできないようですね。運動をしていただくために何か工夫をされていますか。

坂元先生
 当院ではリウマチの患者さんに温熱療法をしているのですが、看護婦を2人くらいつけて温熱療法の間にリウマチ体操というのをやっていただくと、、他の病院でステロイドを10mg以上も使われていたほうが現在では5〜6mgで十分コントロールできるようになっています。それと同じように骨粗鬆症の患者さんについでも、直接われわれが指導して体を動かすようにしていると、よい方向に向かっていく思います。

桐山
 誰かの指導のもとにやらせるということですね。継続させるためには、自発的に楽しんでやるか、もしくは強制的にやるかですからね。
 最近ちょっと興味を持っているのは「ガリレオ」という器械で、床が振動するようになっていて、その上に立っていると防御反応で筋力が上がるということです。ただ音楽を聞きながら乗っているだけで筋力がつくというような、人間の怠け心があってもできるようなものがあれば、現場に積極的に取り入れたいと思います。


鶴上先生
 運動療法をしたほうがよいということはわかっているのですが、実際に大腿骨頸部骨折を起こす方は、運動療法もできないほどの方が結構多いですね。定期的に外来に通院されている方に運動療法を勧めるのは有用だと思いますが、歩くのも難しいという方に対する運動療法としてどのようにアプローチして行くか頭を悩ませています。

帖佐先生
 そのような方々は転倒のリスクが高いので、ヒッププロテクターの装着も1つの方法だと思われます。


鶴上先生
 転倒予防の1つの要素として筋力があると思いますが、当院では腹筋や関節周囲筋を増強させる効果も期待して、ヒッププロテクターを改良したものを使っています。通常は大転子のところに当たるようになっていますが、それを腰椎のあたりまで持ってきて、コルセットとヒッププロテクターの中間のものを作っているのですが、これなら歩行しやすいという方が多いようです。

坂元先生
 私は東京都老人医療センターに勤務していたことがあるのですが、ヒッププロテクターは、一部では非常に熱心にやっているのですが、全体としての広まりがなかなかないですね。これは医者の意識が低いのか、現実的に使いにくいものなのかよくわからないのですが。


帖佐先生
 ヒッププロテクターの使用に際しては、コンプライアンスが問題となるようです。在宅では本人の認識度と、また介護者の有無によって着用頻度が変わってきます。実際、ヒッププロテクターを必要とする患者さんは、自力では装着できない方がほとんどで、装着した後もトイレが間に合わないから使えないという意見が多いようです。そのことを改善するためにヒッププロテクターも改良されつつあります。


桐山
 私も実際に販売しているのを見ましたが、つけにくそうなものが多かったですね。

坂元先生
 私は運動療法のことでいつも頭に引っかかっている問題があります。特別養護老人ホームなどの施設に対して、自治体などの管理部門から利用者の転倒予防に着いての指導があるようですね。そうすると、施設では利用者が転倒しないために歩ける方でも車椅子に乗せてしまうことがよくあるようです。ですから、運動はほとんどなく、骨粗鬆症をかえって助長する結果になっているわけです。監督する側もただ規制するだけではなくて、一緒にリスクを冒しながら運動を考えていく時代にきているのではないかと思います。


帖佐先生
 体位交換しただけで骨折してしまう方もおられますので。


桐山
 管理する側から考えると、入所中に骨折を起こしたら問題になるということでしょうかね。一部の施設では、床にスポンジのようなものが入っていて転んでも骨折しないような工夫がされているようです。すべての施設をそのように変えていくというのはなかなか難しいと思いますが、利用者のことを考えればそのような工夫も必要なのではないでしょうか。


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