「 運動療法 」
桐山 次に、運動療法についてはいかがお考えでしょうか。
鶴上先生 他の疾患でもそうですが、運動はどの程度したらよいかと患者さんに聞かれることが多く、患者さんは意外と運動療法に興味を持っていると思います。患者さんの立場に立てば、運動でよくなるのであれば薬剤は飲みたくないと考えるのが普通でしょうから、逆にこちらが納得させられるようなデータを持っていないのが問題だと思います。 また、骨密度を上げるとか、骨折が減るというところまではいかなくても、例えば運動したことによって痛みが取れれば、それだけでも効果はあると思いますが、今のところ定量的な評価ができないので、予防に効果があるかどうかという点については言及できないと思います。
桐山 内科でも、例えば糖尿病は昔から運動療法が効果的だといわれてきましたが、なかなかうまくいっていませんね。
坂元先生 私が開業している地域はゲートボールが盛んなのですが、運動だけでなく地域でみんなと一緒に何か活動している人は健康そうに見えます。家の中でじっとしていると、骨だけではなくて健康の点からもある程度障害があるでしょうしね。
桐山 そういうことに参加している方は精神的な活動性も高いということでしょうね。
坂元先生 私は運動療法の客観的な評価も重要だと思いますが、主観的評価というのも同様に重要だと考えています。
桐山 患者さんが何か実感することがあれば、続ける意識が出てきますね。運動療法についても効果をきちんとモニタリングして、これだけやればこれだけの効果がありますということを示していけば、患者さんにも納得していただけるでしょう。
帖佐先生 私は、宮崎市が主催する骨粗鬆症教室や市民スポーツ大学で一般の方々に話をする機会がありますが、運動療法をするようになって痛みが取れてきたという話を時々聞きます。また、大学病院ではベッドサイドに設置しているテレビで病院が制作したビデオが観られるようになっています。骨粗鬆症のビデオを観た方から運動療法の詳しい方法を尋ねられることもあり、患者さんへの説明や教育に役立っています。 転倒予防に関しては転倒に関係する眼科疾患や内科疾患の治療に加え、筋力を鍛えたりバランスを維持することが重要だと思います。そのためにはさまざまな運動療法があり外科でも運動療法のパンフレットをお渡ししますが、なかなか短時間では十分な説明は困難ですし、実際に実行されているかが問題になります。したがって高齢者にとって一番簡単なのは立ったり座ったりすることや歩くことですので、その重要性を説明しています。
|