医療者向け情報

第4回日本骨粗鬆症学会ワークショップ 腰椎DXA
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2 精度を改善するには
表1 ファントムの位置による測定値変動

 日常臨床において、精度に最も影響を与えるのは測定体位であると考えられる。ファントムを用いた検討では、側方へのずれや斜めのずれは測定値に大きな誤差を与えないが、回旋や後傾は比較的大きな測定値の変動をきたすことが判明した(表1)。

 実際の測定でも、下肢の屈曲角度を変更しただけで、1%以上の変動をきたす場合があり、患者さんを測定する際は、体位にかなりの留意をして測定する必要がある。臨床経験上からも、腰椎を測定範囲のほぼ中央になるように測定することは重要であるが、最も重要な要素は、areaや骨の形態に変化をもたらす体位の変動がないように測定することと考えられた。腰椎のねじれや、腹側、背側への彎曲は測定値にかなりの変動をきたす。初回測定時の体位、たとえば下肢の屈曲角度や挙上の高さ等を記録し、次回からの測定時に一定となるようなきめ細かな測定が精度向上のために必要である。また、2回目以降の測定時には必ず初回の測定画像を準備し、それを参考に体位を揃える必要がある。

 当院で、実際の患者さんにおいて、リポジショニングを行って2回測定法で測定精度を検討したところ、級内相関係数は0.996と非常に良好であったが、この場合でも%CVは1.2%で、両側95%信頼区間における最小検出変化率は3.4%である。このことは同じ患者さんを2回測定した場合、3.4%以上の変化を認めないと有意に変化したとはいえないということである。腰椎骨密度の変化率は通常大きくても年に3〜5%であるので、個々の患者さんで骨量の変化を判定する場合、測定精度が十分でないとその変化を検出するのはきわめて困難である。

 また、リポジショニングなしで2回測定すると、%CVは約0.5%であるので、被験者の体位を変更することがいかに大きく精度に影響しているかがわかる。すなわち測定の際の体位を可能な限り一定とすることが精度向上の鍵ということである。

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