医療者向け情報

オステオアゴラ九州沖縄エリア 2002年秋季 座談会
1 | 2 | 3 | 4 | 5 | 6 | 7 | メニューに戻る

←前ページへ 次ページへ→
テーマ : 症例から考える骨粗鬆症の診療

 「 骨粗鬆症の薬物療法 」

桐山
 近頃はアレンドロネート(フォサマック)のエビデンスがたくさん出てきています。海外データによると、1箇所以上の新たな脊髄圧迫骨折を起こす確立を約50%低下させる。そして2箇所以上の新たな脊髄圧迫骨折を起こす確立を90%低下させます。1箇所が0.5の確立ならば、2箇所は0.5×0.5ですから、0.25になるはずなのですが、全部合わせるともっと可能性が減ります。ある程度の骨量の方にアレンドロネートを投与すると、亀背や前弯を起こす確立は1〜2割になるというデータといえると思います。
 今までの薬剤と違い、かなり強力なツールを得たという印象をもっています。大腿骨頸部骨折も、橈骨の遠位端骨折も半分程度抑制する。今のところ、リスクの低下については6ヶ月では有意差が出ていません。リセドロネートでは6ヶ月でも出ているデータがありますが、2つの薬剤に差はないと思います。
 大腿骨頸部骨折で有意差が出ているのは18ヶ月です。アレンドロネートを投与すると、痛みによる臥床期間も短縮されるので、骨折の防止によってQOLを高める可能性も十分あるわけです。
 このような新しい薬剤が登場したことに関してはいかがでしょう?


村上先生
 アレンドロネートはどのような状態の患者さんに使うことが多いのでしょうか?

桐山
 全く骨折がない方と1箇所以上骨折がある方で分けた2つの大きなstudyがあります。骨折のある方が3〜4年間に骨折を起こす確立を15%程度(プラセボ群)から8%(アレンドロネート投与群)に下げるというデータが出ていますし、骨折がない方でも同じく半分になるというデータが出ています。
 この薬剤をどのような患者さんに投与したらよいかが非常に問題になるのですが、骨代謝学会では、「骨量がYAMの70%未満のレベルまで下がっていたら骨粗鬆症と診断する」とあります。もう1つ、骨量減少レベルであっても、骨折があればそれを骨粗鬆症の診断に入れるということですので、そういう患者さんは治療してよいわけです。しかし、どの薬剤をいつはじめて、いつまで投与するのかは各科で意見が分かれると思います。

村上先生
 桐山先生はアレンドロネートは骨量がYAMの70〜80%に下がっている患者さんにも使うことがあるのですか?

桐山
 やはり骨折が非常に重要です。骨量は下がっていなくても骨折があることが既に折れやすい傾向の表れですので、骨量を測って80%以上であっても、骨折が1箇所以上ある方にはアレンドロネートを使うことがあります。

村上先生
 骨折がない方にはほとんど使われないのですか?


桐山
 骨折がなくて、今度は70%以下で骨粗鬆症と診断をする方には、使う方と使わない方がいます。必ず使いたいのは、骨粗鬆症領域まで骨量が低下していて、なおかつ骨折がある方です。


村上先生
 婦人科では閉経後の骨粗鬆症が中心ですから、患者さんの同意が得られればHRTを最初に使います。それでも骨量が上がってこない場合、特にHRTは使用後2年くらいで、約4%の骨量増加でプラトーになるというデータもありますし、また全然HRTに反応しない方もいますので、そのような症例にはビスフォスフォネートを使用していきたいと思います。


前田先生
 私は、エチドロネートの時にはコンプライアンスが悪いので使っていなかったのですが、アレンドロネートが使えるようになってからは非常に喜んで使っています。ただ、服用方法の問題もありますので全例には使えませんが、ある程度理解して積極的に治療したいと考えている方には、非常に良い薬だと思います。
 あとは組み合わせの問題ですが、本当はアレンドロネートと活性型ビタミンD3を併用した方が効果がありますね。

←前ページへ 次ページへ→


Copyright(C) ISAHAYA SOYOKAZE CLINIC All rights reserved