一般の方向け情報
戻る

骨粗鬆症について Q&A

 Q1)骨粗鬆症とは?

 Q2)骨粗鬆症になるとどうなるの?

 Q3)なぜ骨がスカスカになるの?

 Q4)骨粗鬆症の症状は?

 Q5)腰痛と骨粗鬆症は関係あるの?

 Q6)膝や肩などの関節痛と骨粗鬆症は関係あるの?

 Q7)骨粗鬆症になっているかどうかの検査は?

 Q8)骨粗鬆症になりやすい人は?

 Q9)骨粗鬆症の治療は?

 Q10)治療しないでいるとどうなるの?

 Q11)骨粗鬆症の予防法は?

 Q12)骨が作られるのは何歳まで?骨の一生はどうなってるの?

 Q13)カルシウムは大人になってから摂っても遅いのですか?

 Q14)日常生活で骨を強くするために気をつけることは?

Q1)骨粗鬆症とは?
A.骨の量が減ってきて、骨の構造、中の細かい組み立てが正常でなくなって、骨が折れる危険性が高まる状態です。

 ひとつの病気のように言われていますが、いろんな原因で起こるもので、将来はいくつかの病気に別れるかもしれません。今は骨の状態と思ったほうがよいとおもいます。

 腰痛や腰が曲がったりするのは、今までは加齢現象の一つ、「年のせいよ」といわれていましたが、高齢化社会となり、しかも、年をとっても質の高い、健康な生活を送れるようにしようという社会になってきました。そのためにはどうしても克服しなければいけない病気だということで注目を集めています。

Q2)骨粗鬆症になるとどうなるの?
A.最初のうちはまったく症状がありません。沈黙の疾患といわれています。

 そのうち腰が曲がったり、腰が痛くなることがあります。無症状で突然骨折することもあります。
骨折しやすくなるだけでなく、骨折して腰が曲がると、胃がもたれる、胸焼けする、息切れがするといった胃や食道、肺などの内臓までに障害が出てくる病気です。

Q3)なぜ骨がスカスカになるの?
A.骨粗鬆症は圧倒的に女性に多い病気ですが、女性において、女性ホルモンが減少するということが大きな原因のひとつです。
すなわち、生理が止まる、閉経という現象の頃進行します。もう一つの大きな原因は加齢です。つまり年をとると進行するということです。

 だからこそ予防や治療が難しい場合があります。その他の原因として、カルシウムやビタミンDなどの栄養不足の要因、運動不足やタバコ、飲酒などの生活様式の要因、体質的な要因などがあります。


Q4)骨粗鬆症の症状は?
A.最初は無症状。そのうち腰や背中が痛くなることがあります。また。腰が曲がったり背が縮んだりすることがあります。

 骨折し易い部位としては、背骨や腰骨、手首の骨、足の付け根の骨(大腿骨頚部)などがあります。

 骨折しやすくなるだけでなく、背骨が骨折して腰が曲がると、胃や食道が圧迫されて、胃がもたれる、胸焼けする、肺や心臓が圧迫されて息切れがするといった症状が出てきます。


Q5)腰痛と骨粗鬆症は関係あるの?
A.腰痛イコール骨粗鬆症ではありません。

 腰痛で受診された方の大部分が骨粗鬆症ではありません。もちろん、骨粗鬆症による背骨の骨折による腰痛はあります。でも、筋肉や筋(すじ)の痛み、背骨が変形する変形性脊椎症や、背骨と背骨の間のクッションである椎間板が神経を圧迫する椎間板ヘルニアなどによる痛みなどが多いようです。

Q6)膝痛や肩などの関節痛と骨粗鬆症は関係あるの?
A.直接的な関係はありません。
 
 しかし、骨粗鬆症は年齢が高い方に多いので、骨粗鬆症である高齢者の方は膝や肩などの関節が痛い方が多いということはあります。

 また、関節が痛くなると関節の炎症によって、また、関節を動かさないことによって、関節周囲の骨の量が減少して、部分的に骨粗鬆症と同じような状態になることはあります。

Q7)骨粗鬆症になっているかどうかの検査は?
A.骨が折れやすくなっているか、つまり骨の強さは、本当のところ折ってみないとわかりません。しかしそういうわけにはいかないので、骨の強さの代わりに骨の量を測ります。

 骨の量を測る検査のスタンダードは腰の骨を測ることです。腰の骨は骨粗鬆症の初期に敏感に骨の減少を捉えることができます。また、お薬や運動などの治療効果が上がっているかどうかも感度良く検出できます。

 手の骨や足の骨の測定は、骨量が減っているかどうかは、ある程度検出できますが、治療効果の判定はかなり厳しいようです。レントゲンを使う検査が大部分ですが、超音波などを使う器械もあり、厳密に言えば骨量の検査でない場合もあります。種々の検査である程度の異常があれば、腰や全身の骨量を測定してもらって、本当に体全体の骨が減っているか調べてもらうことが大切です。

 いずれにしても、骨量が減っていることイコール骨粗鬆症ではないので、専門の先生に良く相談をすることが大切です。骨粗鬆症以外に骨量が減少する病気として、副甲状腺機能亢進症、性腺機能低下症などがあります。

 また、若い人の中でも、ダイエットや前述の副甲状腺の病気で骨量が減って折れやすくなっている人もいますので、一度は自分の骨量を測って知っていることも大事です。

Q8)骨粗鬆症になりやすい人は?
A.その病気になりやすい人は危険因子を持っている人といいます。

 高齢者、閉経後の女性、やせている人、タバコを多く吸っている人、過度の飲酒をしている人、カルシウムの摂取の少ない人、ビタミンD不足の人、運動不足の人、血のつながった家族に骨粗鬆症の方がいる人など。また、副腎皮質ホルモンなどの特殊な薬剤で治療を受けている人、胃を手術した人、糖尿病や甲状腺、腎臓などが悪い人などです。

 最近では若い人でもダイエットなどでカルシウム不足、栄養不足で骨の量が減っていて折れやすくなっている人があり要注意です。

Q9)骨粗鬆症の治療は?
A.治療というより予防の基本は、カルシウムを十分に摂りビタミンDを含んだバランスの良い食事を摂る事。また、適度の運動をすること、特に成長期の運動が大切です。ある程度日光に当たることも大切です。

 治療ということでの運動は骨量が増えるというところまでは行かないのが一般的ですが、減少する速度や、減少する程度を和らげることはできそうです。カルシウムの摂取も同じ程度の効果があります。

 薬物治療では、今までのカルシウム剤、女性ホルモン剤、活性型ビタミンD剤、カルシトニン製剤、イプリフラボン製剤、ビタミンK製剤、ビスフォスフォネート製剤、蛋白同化ステロイド製剤の8種類が利用可能でしたが、この秋にアメリカのFDAというお薬の審査がかなり厳しい機関で認められた骨粗鬆症のお薬、ビスフォスフォネートのひとつアレンドロネートが日本でも認可され、治療の幅が広がりました。

 治療の最終目的はあくまで骨折の予防ですので、骨量が上がったり下がったりすることに神経質にならなくてもよいと思います。ただし、すべての患者さんに効くお薬はないわけで、自分自身の飲んでいるお薬が効いているどうかは確認していくほうが良いと思います。治療効果は折れなければ良いわけですが、折れてから、治療効果がありませんでしたでは困るので、折れやすいかどうかを、骨量検査で推定するわけです。したがって、お薬が効いているかどうかも、骨量検査、特に腰の骨の量を見ることによって判定します。お薬で骨量が増えることもありますが、効いているかどうかの判定は、精密に骨量を測定しないと難しい場合が多いです。骨が壊れて尿中に出てきた物質を測定することによっても、ある程度の治療効果が判定できます。

Q10)治療しないでいるとどうなるの?
A.治療しないでいると、骨折しやすいことになります。背中や腰の骨は何もしなくても折れることがあります。しりもちをついたり、重いものを持ったりしたときに折れやすいです。転んで手をついて手首の骨を折ったり、足の付け根の骨を折ったりする可能性が高まります。咳をしただけで肋骨にひびが入ったりすることもあります。

 高血圧や糖尿病の場合、治療しなければ必ず合併症、たとえば高血圧であれば、脳出血や心筋梗塞、糖尿病であれば、視力障害や腎臓機能障害になるというわけではありません。同じように、骨粗鬆症も治療しなければ必ず骨折するわけではありませんが、骨折する可能性が高くなるということです。


Q11)骨粗鬆症の予防法は?
A.予防の基本は、カルシウムを十分に摂りビタミンDを含んだバランスの良い食事を摂る事。また、適度の運動をすること、特に成長期の運動が大切です。運動の中でも重力に抗する運動、つまり飛んだり跳ねたりする運動が効果的です。

しかし、年齢や自分の能力にあった運動をすることが大切です。また、ある程度日光に当たることも大切です。日光に当たると皮膚でビタミンDが作られてカルシウムの吸収がよくなります。

Q12)骨が作られるのは何歳までですか?骨の一生はどうなってるの?
A.骨が一番増えるのは大体20歳ぐらいまでです。その後はほぼ一定の量を保ち、40−50歳ぐらいから徐々に減少します。女性の場合は生理が止まる、閉経という時期に急速に骨の量が減少します。女性は生理が終わってから10年の間に約30%の骨を失います。だから、骨粗鬆症は圧倒的に女性が多いわけです。

 骨の量は年をとるにつれ減少しますが、骨自体は一生の間作られたり壊されたりしています。骨の中には骨を作る細胞、骨芽細胞と、骨を壊す細胞、破骨細胞があり、バランスよくいつも骨を新しい骨に作り変えて、骨の強さを保ち、また、体の中のカルシウムのバランスをとっています。そのバランスが崩れることによって、骨の量が異常に少なくなり、折れやすくなるのが骨粗鬆症です。

Q13)カルシウムは大人になってから摂っても遅いのですか?
A.カルシウムの摂取は成長期、骨の量が急速に増えるころ、最も大切です。そのころ、カルシウムが足らないと、増えるべき骨が十分に増えきれず、大人になっても骨量が平均より少なくなるので、いざ減り始めたら、早く折れやすいところまで行ってしまいます。

 大人になってからのカルシウムは十分な量摂っておくことが大切ですが、骨が少ないといわれてからあわてて山のようなカルシウムを摂っても骨の量がどんどん増えることはありません。骨の減り方をゆるくするぐらいの効果です。何事も「過ぎたるは及ばざるが如し」で、摂りすぎはよくないと思います。

Q14)日常生活で骨を強くするために気をつけることは?
A.骨を強くするためには、まずカルシウムを多めに摂ること。日常の普通の食事で一日約400mgのカルシウムが摂れますので、プラス400mgのカルシウムを摂ればよいと思います。牛乳で400ml、コップ二杯です。牛乳は苦手な方は、豆腐などの大豆食品やカルシウムの錠剤でもいいです。

 蛋白質やビタミンKなどその他の栄養素もバランスよく摂ることも大事。

 運動すること。重力のかかる運動。飛んだり跳ねたりする運動が、より効果的です。年齢や個人の運動能力に応じた運動が大切です。

 過度のアルコールやタバコを控えることも大切です。

図1−3:出典 骨粗鬆症を知っていただくために(林泰史先生監修)

Copyright(C) ISAHAYA SOYOKAZE CLINIC All rights reserved